ダイビングライセンス取得後はPPB!海を傷つけない中性浮力を身につけよう

更新日:2023.08.01.Tue   投稿日:2023.06.17.Sat

私たちダイバーが海へ潜る際、少なからず海への悪影響があることをご存じでしょうか?

それは、ダイバーの存在が魚を驚かしたりストレスを与えてしまったりするだけではなく、フィンやオクトパス、ゲージなどの器材が当たることで直接的に海を傷つけてしまうケースです。

ダイビングライセンスを取得して海の美しさに魅了され、海を大切に想い、海で癒されに行っているにもかかわらず、知らず知らずのうちに海を傷つけているとしたら、悲しいことですね。でも、ほんの少しだけでも意識をしたり、テクニック向上に努力をしたりすることで防げることがたくさんあります!

ダイビングをする以上は、海への影響を全くのゼロにはできないかもしれませんが、すべてのダイバーが気を付けることで影響を最小限に抑えられると思います。どんな行動が悪影響を及ぼす可能性があるのか、そしてその対処法など一緒に学びましょう。

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どんな行動が海に悪影響を与えるか知ろう!

フィンで蹴ってしまう&器材があたる

立ち姿勢でフリー潜降をして、そのまま海底の岩やサンゴにフィンが当たりそうになったことはありませんか?

また、岩にくっついたウミウシを一生懸命に眺めた後、その場を去る時にフィンで岩肌を蹴って推進力を得たり、固定していないオクトパスやゲージが海底をガリガリ削っていたりする様子を見たことはありませんか?

他にも、写真撮影をする際、流れに負けないよう、がっしりと片手で岩やサンゴを握って体を固定しているダイバーも多いです。

確かに、水中写真を撮りたくなる華やかな魚達に夢中になるのはわかりますが、岩肌にも被覆状のサンゴや海藻など様々な生物がたくさん暮らしています。

それらはデリケートですから、ほんの少しフィンが当たったり器材が当たることで千切れてしまったり、折れてしまったり、つぶれてしまいます。

そうすると、海藻やサンゴ本体ももちろんですが、そこに付いていた生物の卵や微生物、プランクトンなども一緒に破壊されてしまうでしょう。

ひいては、それらを餌にしている他の生き物たちにも影響してくることだと言えますね。サンゴも海藻も一晩で元に戻るわけではありません。何か月も何年もかけて大きくなっている。そんな生き物たちをダイバーが壊したり殺してしまったりするわけにはいきません。

砂を巻き上げないようにPPBコースで中性浮力を練習

海の生物に触る

ダイビング中に泳ぐ魚に触れることは頑張っても難しいですが、ナマコやヒトデ、エビやウミウシなどはどうでしょうか?

カメラを持ったダイバーが、マクロ撮影をするために撮りやすい位置に生き物を移動させているところを見かけることがあります。

また、海の生態系をゲストに見せるために、生き物に触れてその反応を見せるインストラクターやガイドもいます。ゲストを喜ばせるためかもしれないが、できれば「良いお見本」となって欲しいものです。

触られることで、人間が思うよりも生物たちはストレスを感じ、弱っていきます。また、魚やサンゴは寄生虫の侵入を防いだり、身体を菌から守るために膜で体を覆ったりしています。

しかし、触られてしまうとその膜が剥がれ、病気にかかりやすくなってしまいます。極めつけは人間の体温です。魚にとっては、人間の体温(平均36.5度)は高すぎて火傷をしてしまいます。

ダイバーも水中にいるため、多少は体温が下がっているでしょうけれども、水温ほど下がることはありませんね。棘や毒でダイバー自身も危険にさらすことがありますので、ダイビング中に海洋生物には絶対に触らないようにしましょう!

PADIのPPBコースで中性浮力トレーニング

砂を巻き上げる

ほとんどのダイバーが、水中写真を撮る際や砂地に生息している生き物を見るために、砂地に着底をしたことはありますよね。また、そこからまた泳ぎ始める時に、煙幕のように砂を巻き上げてその場を去ったこともあるのではないでしょうか?

そのせいで、魚が逃げてしまったり、視界が悪くなってしまったりするため、砂を巻き上げる行為は他のダイバーにとって非常に迷惑と言えます。

何より、砂地の生物を吹き飛ばし、巻き上がった砂が岩につきサンゴが光合成できない、海藻が生えることができない・・・などの二次災害も起きてしまいます。

まずは、ダイビング中にできる限り着底をしないこと、砂地を立ち姿勢で泳がないことなどを十分に気を付けましょう。

PPBでロープなしでフリー潜降ができるように練習

中性浮力をしっかりマスターしよう

では、どうしたら水中環境を壊さずにダイビングを楽しめるのでしょうか?

まずは、中性浮力をしっかりとマスターすることです。中性浮力とは、水中で身体が浮かないし沈まない状態のことだとオープンウォーターダイバーコースで習いましたよね。

自分が今いる深度での浮力のバランスがとれた状態を言いますので、深度が変えればまた中性浮力のコントロールはやり直しです。

この中性浮力の微調整が上手にできれば、その場で動かない「ホバリング」もできるようになります。そうすれば、岩にぶつかったり、砂を巻き上げたりすることなく、海に優しいダイバーになれるでしょう。

ダイビングライセンス取得後に参加できるステップアップコースとスペシャルティコース一覧

適切な中性浮力の取り方

・適正ウェイトで潜る

ウェイトをつける位置や、BCDのウェイトポケット、ウェイトベスト、アンクルウェイトの利用などを工夫してみましょう。

・シリンダー位置の調整

器材セッティング時やシリンダーの交換時に、シリンダーの位置を下げたり上げたりして工夫してみましょう。

・呼吸を意識して潜る

2リットル以上の空気が入る肺も重要な浮力体です。呼吸のコントロールで肺をうまく利用して微調整しましょう。

PADIのPPBスペシャルティを受講しよう

PADIのSPコースのひとつにPPB(ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー)という中性浮力を学ぶコースがあるのはご存じですか?

このコースでは、ウェイト量の細かい調節から、呼吸やBCDの浮力コントロールのテクニックまで、簡単な学科講習と海洋トレーニングで詳しく学びます。コース修了時には、水中で思い通りにホバリングできるようになるでしょう。

中性浮力もホバリングも、一朝一夕で完璧にマスターできるようになるものではありません。テクニックを学んだら、それを身体で覚えていくために、潜るたび練習を重ねましょう!

ガイドと深度を合わせて泳いだり、ガイドのフィンキックと同じタイミングでキックするようにトライをしたり、呼吸での身体の上下を意識してみたり・・・

海の環境を壊さない上に、ピタッと止まれるダイバーは水中で見ていてとてもカッコイイですよ。

適切なフィンワークを学ぼう

中性浮力も大切ですが、同じくらい難しくて重要なのが、フィンキックの正しいやり方をマスターすることです。

写真撮影をした後や岩や根の壁際、サンゴのそばから離れる際の細かいフィンワーク、正しくできていますか?

また、後ろ向きに泳ぐ時や、着底後に砂を巻き上げないよう泳ぎ始める時など、中上級者はダイビング中に複数のフィンワークを使用します。

それにより、無駄に周りを傷つけることを減らせますし、他のチームメイトへ迷惑をかけてしまうことも減るでしょう。

また、水中写真を撮ることに集中してしまい、フィン先を岩の間に挟んで身体を固定する場面をよく見かけます。多少は仕方がないかもしれませんが、岩の間にウニや他の生き物がいないか、まずは必ず確認しましょうね。

 

フィンワークの改善方法

・バディやインストラクターと一緒にお互いに動画を撮影して自身のフィンキックをチェック&改善しよう

・砂地やサンゴ礁のポイントでダイビングをする前に、フィンキックの正しいやり方を聞いてみよう

・インストラクターやガイドに水中で気にして見てもらえるよう頼んでおこう

 

正しいあおり足ができたらカッコイイですが、それよりも重要なのは海底の岩や砂に当たらないようにすることです。場面ごとに合わせたフィンキックをマスターすることは、海洋生物への悪影響も最小限にできますし、一緒に潜る仲間たちへのマナーでもあります。

まとめ

中性浮力でサンゴの上を泳ぐ

私たちダイバーが海へ潜ることで、水中写真や動画を撮影して海のすばらしさや尊さ、美しさを陸へ伝えることができます。

しかし、一方でダイバーが潜ることで、少なからず海へ悪影響を与えているのも事実です。

フィンで海底や岩、砂地を蹴ってしまったり、砂を巻き上げてしまったり、故意に生き物の場所を変えてしまったり・・・

ゲージやオクトバス、シリンダーが当たってサンゴを破壊してしまったり、生物に泡を当てて遊んでストレスを与えてしまったり・・・

水面呼吸をしなければならないウミガメやウミヘビなどの生き物を必要に追いかけまわして、呼吸するタイミングを失わせてしまったり・・・

それらは、ダイバーひとりひとりが意識することで、最低限に抑えられることだと思います。海への影響を完全に無くすことは難しいかもしれませんが、最小限に抑えて少しでも長く、少しでも美しい海をみんなで共有していけると良いですね。

 

ダイビングスクールマレアでは、オープンウォーターダイバーコースやアドヴァンスドオープンウォーターダイバーコースを取得した方にたくさんのスキルアップコースを提供しています。

PADIが海洋環境を守るために推奨しているPPB(ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー)のSPコースを受講して、中性浮力のスキルアップをし、海に優しいダイバーになりましょう!

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