ダイビング器材で重要なBCDの選び方と使い方を紹介!

更新日:2024.03.12.Tue   投稿日:2024.02.29.Thu

ダイビングにとって重要な器材の1つであるBCD(浮力調整器具)ですが、自分に合ったものを選ぶことがとても大切です。体に合わないBCDは、潜降時や水中でのバランスを崩しやすく、中性浮力をとる上で障害となる可能性もあります。

自分の体に合ったBCDを選んで水中での活動をより安全で快適なものにしましょう。

ここではBCDの選び方を紹介するとともに使い方も説明します。

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BCDの種類とは

BCDは大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴と、どういったダイビングスタイルに合うのかを紹介します。

アジャスタブルタイプ

アジャスタブルタイプのBCD

肩の部分がショルダーバックルになっていて、サイズ調整や脱着が非常にしやすいタイプです。

レンタル器材のBCDはいろんな体型の方に合うよう、このアジャスタブルタイプが多く使用されています。

サイズ調整がしやすい分、構造によっては身体へのフィット感が物足りないものもあるので、サイズ調整ができるといっても、あなたにピッタリフィットするBCDなのかをしっかり確認しましょう。

脱着が容易なため、初心者やシニア、ドライスーツを使用するダイバーに特におすすめです。

ジャケットタイプ

ジャケットタイプのBCD

BCD全体が浮力体になるジャケットタイプはサイズ調整が無いため、身体にジャストフィットしている必要があります。

ジャストフィットしていてサイズ調整ができないということは、脱着が大変ということ。慣れるまではストレスになる可能性もあります。

ただ、インストラクターやガイドなどジャケットタイプを愛用するプロダイバーは多いです。

一番の特徴はBCD内で空気が回りやすく、水面や水中でのバランスが取りやすいというところ。特に水面での待機中は大変楽で、ドリフトダイビングを好むダイバーにおすすめです。

バックフロートタイプ

バックフロートタイプのBCD

BCDへ空気が入る箇所が背中部分のみのシンプルタイプ。身体の前面に余計なものがないため動きやすく、水中で水平状態の中性浮力を保ちやすいことから特に水中撮影を好むダイバーにおすすめです。

また、とてもシンプルなBCDなので、通常のBCDよりコンパクトになるものが多く、持ち運びが楽です。

狭い洞窟を長時間泳ぐことにも適しており、ケーブダイビングなどのテクニカルダイバーが選ぶタイプでもあります。

BCDの選び方とは?

体型に合っているもの

BCDを選ぶ際の優先順位No.1といってもいいほど、BCDが体型に合っているかどうかは大事です。

体型に合っていないと、どのようなデメリットがあるのかを紹介します。

サイズが大きい場合

水中でシリンダー(タンク)が安定せず、ダイビング中に常時バランス調整が必要な状態になったり、それに伴い呼吸数が上がり残圧も減りやすくなったりと、素敵な水中の景観を楽しむ余裕がなくなってしまう可能性が高いです。

また、陸ではシリンダーの重みでBCDがズリ下がり、シリンダーが身体からより離れやすくなるため、その分重みが増してしまいます。

サイズが小さい場合

小さいと身体にフィットするのでは?と思われがちですが、BCDが小さいということは身体に対して浮力が小さいということ。

水中や水面で身体が沈みやすく、バランスがとりづらいです。また、水面待機時は波を被りやすい状態になることが多く、とてもストレスになり、安全面でも支障が出ます。

丈夫なもの

スキューバダイビング器材の中でウェットスーツの次にかさばってしまうBCDは、軽量性を求める方が多いです。

ただ軽量を考えるあまりに生地がペラペラなものを選択すると破損・破れなどに繋がってしまいます。

BCDの浮力部分が破れてしまうと、浮力体として使用することができないので、最悪の場合は中性浮力を自身の肺とフィンキックでとるしかありません。

また、水面では浮力の確保ができず、緊急用のシグナルフロートを膨らませたり、バディに掴まったりする対処が必要です。

ちなみにBCDの浮力体(ブラダー)の破れは修理ができないことがほとんど。まだ使用できるような見た目でも、たった1か所の小さなピンホールで買い替えを余儀なくされた方を見てきた筆者の経験上、生地が丈夫かどうかもぜひ重視してください。

浮力体(ブラダー)の位置

こちらは上述したBCDの種類での説明と重複しますが、BCDの種類によって浮力体の位置が変わります。

この選び方は、あなたがどのようなダイビングスタイルなのかで選びましょう。

浮力体がBCD全体

上述のジャケットタイプです。

ドリフトダイビングを好む方や水中での大勢をよく変えがちな方、また水面待機時、楽にBCDに身を任せたい方へおすすめです。

浮力体がBCD背面のみ

上述のバックフロートタイプです。

水中撮影が好きな方、身体の前面に余計なものをつけずに動きやすくしたい方、極力軽量を求める方におすすめです

Dリングの位置

ダイビングは様々な装備品が必要です。

シグナルフロート、スレート、水中ライト、指示棒、ベル、ナイフなど、ダイビングポイント(潜る場所)によっては推奨ではなく必須装備の物もあります。

これらを複数水中へ持っていくとなれば、BCDのポケットは大きめが良いかなと考えやすいですが、闇雲にBCDポケット内へ入れることはおすすめできません。

装備品はすぐに使用したい状況が多く、例えば早く誰かを呼びたいのにベルがポケットの奥で取り出せない、やっと取り出したと思ったら求めてない物だった。1つだけを取り出したいのに余計なものまで出てしまい、しかも落として水底に沈んでいった…などのトラブルがあります。

ちなみに水中ではマスクの視界は大変狭く、BCDのポケット内を探っている間にグループやバディを見失ってしまう可能性もあります。

Dリングが多いBCD

Dリングの箇所が多数あると、各装備をBCDにぶら下げることができ、必要時にすぐ使用することができ安心です。最低限、左右に1つずつ。水中撮影や水中ガイドをすることを考えている方は、3つ以上のDリングがあることをおすすめします。

BCDのおすすめ機能

各メーカーで様々な機能を搭載しているBCD。その中でも、必ず押さえておきたいおすすめの機能と、ダイビングスタイルによって考慮するといいことを紹介します。

ウエイト内臓BCD

ウエイト内蔵BCD

ダイビング時に使用するウエイトは、基本的に腰にベルトで巻くスタイルが多いです。

ウエイト内蔵可能なBCDはウエイトを入れるポケットが付いており、毎回腰に巻く必要がなく、セッティング時にウエイトをポケットに入れるだけで、とても楽ちん。

ウエイトを腰に巻くと腰が痛くなる方や、ウエイトを腰に巻く動作自体がネックだという方には、まさにぴったりの機能です。

もちろんロック機能やクイックリリース機能が付いており、陸や水中で脱落してしまうことや緊急時に取り外せないといったことがないような構造になっています。

排気がしやすいBCD

インフレーターの排気ボタンを押しているのに全然排気されなくて沈めないという状況は、誰しもが経験することです。

排気の方法は後ほど「BCDの使い方」にて紹介しますが、コツをつかむよりも排気がしやすいインフレーターシステムが付いているBCDを選べばとても楽です。

排気がしやすいインフレーターシステムの製品を2つ紹介します。

Bism コンビネーションバルブⅡ

BismのBCD

通常インフレーターの先端に付いているボタンは給気と排気の2つですが、上記の商品はボタンが3つ。

給気ボタンが1つ、排気ボタンが2つあります。

排気ボタン2つ中、1つは通常通りインフレーターの先端を上げて排気し、もう一つのボタンはインフレーターの先端が下の位置でも排気ができるという便利なボタンです。

排気する度にインフレーターを上げなくて済むので、BCDの給気や排気を小まめに行う時はとても楽ちん。

特に初心者は、排気がしやすいインフレーターシステム付きのBCDがおすすめです。

アクアラング i3

アクアラングのアクシオムi3
アクアラングのBCDで「i3」とつく商品名には、なんとインフレーターの蛇腹ホースがありません。

BCDの左ポケットの下にレバーが付いていて、このレバー1つで給気と排気を行います。

インフレーターを上げ下げする動作が必要なく、インフレーターに蛇腹ホースがないため、他の装備を探す時や、水中撮影時に邪魔なものが無くとても快適。

陸でBCDを背負う時もホースを内側に挟み込むトラブルがなく、非常に楽です。

アクアラングのi3レバー

また、i3コントロールシステムは常に左腰にあるため、水中でインフレーターの先端を探すという動作が一切不要。

初心者ダイバーでも、もう水中でお守りのようにインフレーターの先端を握りしめる必要がありません。

なお、i3コントロールシステムはアクアラングの特許のため、アクアラングのBCDにしか搭載されていないシステムです。

持ち運びがしやすいBCD

軽量なBCD

BCDはダイビング器材の中で、ウェットスーツの次にかさばる器材。

ダイビング器材を持った公共交通機関での移動や、海外旅行などで飛行機の重量制限を気にする方は、特に持ち運びが楽なものがいいでしょう。

ただ、単に器材の重量を見るのではなく、丈夫かつコンパクトになるのか、というところを見てください。

そんなものがあるの?と疑問に思いがちですが、ダイビング器材は常に進化しており、丈夫で、かつコンパクトを満たしたBCDはあります。

上述で紹介したBCD選びのコツを考慮した上で、ぜひ選択してください。

BCDの正しい使い方を紹介

Cカード取得講習で習ったことを完璧にマスターしている方は多くありません。BCDの取り扱いについて、基本やコツを復習していきましょう。

BCDに給気をしてエントリー

エントリーと潜降

水に入る時はBCDに空気を入れて浮力を確保してからエントリーしましょう。

その後、水面でインフレーターの排気ボタンや排気バルブを使用し、BCD内の空気を極力無い状態にして、息を大きく吐きながら潜降開始します。

スムーズに潜降するために、特に初心者はオーバーウエイト(適正ウエイトより多くウエイトをつけること)にする方を見かけますが、水中での中性浮力スキル向上にはあまりよくない方法なので、ウエイトに頼らず潜降するコツを早い段階で掴みましょう。

スキルや耳抜きに不安がある方は、潜降ロープをしっかり頼ってください。

水深3m付近になると、水圧で身につけている器材が圧縮されて自然と潜降しやすくなります。

自身の意図とは別に体が、沈み出したらインフレーターの給気ボタンを使用して、中性浮力をとりましょう。

後述のインフレーターホースの使い方でも紹介しますが、給気ボタンはこまめに押すということがコツです。

給気ボタンの長押しは急浮上の原因になるため、特に潜降や浮上時には注意が必要です。

インフレーターホースの使い方

BCDの排気

インフレータの先端を高い位置まで上げているのに、中々沈まないという経験はありませんか?

闇雲にインフレータの先端を上げているだけでは空気は抜けません。慣れるまでは、BCDのどこに空気があるかをイメージしましょう。

液体よりも気体は軽いため、水中でBCD内の空気は高い位置に移動します。

潜降するため頭を下にして泳ぎたい気持ちはわかりますが、まずは排気するために上体を起こし、インフレーターの先端を高い位置に上げ排気ボタンを押しましょう。

排気されているかどうか、泡を見たり泡の音を聞いたりすることも大切です。

BCD内に浮力があるのに、インフレーターの先端から空気が出ていない場合は、もっと上体を起こすことが必要なサインです。

潜降したくても排気しないと潜降できないので、まずは諦めずに上体を起こして排気しましょう。

BCDの給気

給気が必要な時は、ポンポンポンと小まめに給気ボタンを押しましょう。

長押しは急浮上の恐れがあるため禁物です。

オーラルインフレーション

インフレーターの先端にある排気穴から給気をする方法です。

BCD内を真水で洗う際に使用するオーラルですが、基本的な機能としてはエア切れ(シリンダー内の空気が無い状態)でBCDに空気を口で入れるための穴です。

余裕がある時はダイビング前のセルフチェックや水面での浮力確保も、オーラルでの給気を試してみましょう。

腰の排気バルブの使い方

頭から潜降したい時など、上体が腰より低い位置にある場合は、腰のバルブの紐をひっぱって排気します。

コツは、排気するバルブがある方の腰を少し高めにすることです。

バルブでの排気は、一気に抜けるイメージ。慣れてくると、とても楽に潜降することができますよ。

右肩の排気バルブの使い方

使用する時の姿勢はインフレーターを使用する時と同じです。

一気に排気したい時や、インフレーターの上げ下げが面倒な時は、この右肩バルブを使用します。

先述したアクアラングのi3は、右肩の排気バルブと腰の排気バルブの両方から空気が抜けるので、基本的にはどんな体勢でも毎回同じレバーを操作することで排気ができます。

アクアラングのi3レバーで排気

そのため、潜降時や浮上時の排気ミスが減り、トラブルを減らして安全性を高めることができます。

肩のバンドでフィット感を調整する方法

重複しますが、BCDは身体にジャストフィットしていることが前提です。

肩にバンドがあるBCDの場合は、シリンダー装着済みのBCDを背負ったあと、肩のベルトをひっぱり、BCDを身体にジャストフィットさせましょう。

シリンダーの重みで、ベルトを引っ張ることがうまくいかない場合があります。

コツはただ引っ張るのではなく、左右同時に腰の位置に向かってグン!と引くイメージです。この時に、おんぶした子供を背負い直すように、少しだけジャンプするような力を入れてあげましょう。

ウエイトポケットの使い方

ウエイトポケットはBCDの左右ポケットと同じ位置にあり、一般的に片方に最大4kg、左右合わせて最大8kg入ります。

ウエイトを腰に装着する時と同様、なるべく左右の重量差が無いように入れましょう。

注意点は、最大8kgをフル活用しないこと。

例えば自身のウエイトが8kg必要な場合、ウエイトポケット左右に4kgずつ入れるのではなく、ウエイトポケットに左右3kgずつ入れ、残りの2kgは腰につけます。

ウエイト8kgがBCDに入っていると、体力を消耗したダイビング後、BCDを下ろす時に重すぎるためです。

陸で重すぎると転倒の危険もあるので、最大8kgをフル活用せず腰に分散させましょう。

BCDを操作するポイント

沈みがちなときに給気ボタンをこまめに押して給気する

潜降を苦戦するダイバーに多くあることが、給気ボタンをあまり使用しないということ。

もし思った以上に浮上してしまった場合、また潜降で苦戦したくないからですね。

気持ちはよくわかりますが、穏やかな水中なのに頻繁にフィンキックをしている状況の時は、迷わず給気を行いましょう。

繰り返しますが、給気のポイントはポンポンポンと小まめに押すこと。

そして給気の後、5秒程度待っても浮力が足りなければ、また小まめに給気をしてみてください。

しつこいですが、大事なことは給気ボタンを長押ししないこと、そして給気した後に浮力が増した感覚があるのか5秒程度待つことです。

水中でバランスをくずすダイバー

浮きがちなときに排気ボタンを押して排気する

排気のポイントは、ダイビング中に足が浮きがちな時です。

足が浮きがちな時は、浮いてしまう!もっと下へ行こう!と頭を下にしていることが多いので、慌てず上体を起こしてインフレーターの先端を上げて排気ボタンを押すということが大切です。

もしくは頭を下にした状態のまま、腰バルブの紐を引っ張るというスキルが身につくと安心です。

どちらの方法にしても、排気しすぎると沈みすぎて、また給気をして、入れすぎてまた排気する、という負のスパイラルに入ってしまうことがありますので、慌てず小まめに行うようにしましょう。

まとめ

BCD購入の大事なポイント

ここまで読んで頂いた方はもうお分かりでしょう。

ダイビングのスキルは、自身のスキルだけでなく、自身に合ったダイビング器材を使用しているかということがとても大切だということです。

もちろんダイビングを快適にするためには、自身のスキルや知識の向上は大事ですが、自身のスキルに合った器材を選択することも、とても重要です。

BCDは中性浮力、使いやすさ、持ち運びなど、特に初心者にとっては快適にダイビングをするうえで大変重要な役割を担う器材。

新規購入や買い替えを検討している方は、今回のポイントを改めて抑えてください。

この記事を参考に、あなたにとってより快適で安全なダイビングに繋がれば幸いです。

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